イギリス人紀行家イザベラ・バードが見た中野もみじ山



現在と明治の頃の中野神社本殿
イギリス人女性、イザベラ・バードの『日本奥地紀行』(平凡社刊)は明治11年(1878年)の6月〜9月までの3か月にわたる外国人の視点で描かれた当時の東北・北海道の農村等の人々の生活ぶりがわかる紀行文です。
 黒石に関するものは当時のねぷた、中野、温湯を中心に記述されており、紀行文の数少ない挿絵の中にも中野神社の灯籠のスケッチ画もあります。 イザベラ・バードが明治に行脚した日本奥地紀行に記述した『中野もみじ山』は・・・

 上中野(かみナカノ)は非常に美しい。
秋になって、星の形を葉をつけた無数の紅葉が深紅の色をつけ、暗い杉の森を背景として美しく映えるとき、森の中の大きな滝は雪のふるように白く輝きながら下の暗い滝壺に飛び散り、遠く旅をしてやって来る価値が充分にあるにちがいない。
これほど私を喜ばせてくれたものを今まで見たことがない。川のところまで苔の生えたりっぱな石段がある。

美しい橋があり、二つのすばらしい石の鳥居がある。
きれいな石灯籠があって、それから壮大な石段の急な坂を登って山腹を登る。それは杉の並木で
小さな神社に至る。
ここからほど遠くないところに神聖な木があり、それには愛情や報復のしるしがつけてある。
 ここはすべてが魅力的である。

(日本奥地紀行:平凡社ライブラリーより)
 約120年も前の1880年に英国で出版された紀行文の和訳ですから、現在の神社の様子とは少し違います。 でも紅葉の他に、スケッチ画の石灯籠等、残っている古きを探し尋ねるのも楽しいかと、弘化4年(1847年)と刻まれた石の鳥居、天保3年、弘化4年と刻まれた石灯籠もあります。
 それに樹齢500年、600年、700年の杉の巨木、鶏、珍しい『あうん』の一対の蛙も迎えてくれます。

中野もみじ山